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2011年5月17日 (火曜日)

退院させたくない

とっても久しぶりに晩酌したので,余計なこと書いちゃうかも。

退院したくない患者さんのお話。

 

そもそも入院があれば退院があります。

入院するってことは,外来治療ではムリということ。まず,この「ムリ」にはいつくか種類があることから。

【外来診療でムリ】

  1. 外来で抗菌薬処方するくらいじゃ命に関わりそうな重症肺炎
  2. 手術が必要な癌
  3. ひとり暮らしの高度脱水,食欲不振

本質的に,3は違うということをご理解できるでしょうか。

1, 2は医療的に入院が必要なんですが,3は社会的に入院が必要なんです。

もっと書けば,1, 2は治ったら退院してくれるんですが,3はそう行かないんです。ひとり暮らしの方が食べられなくなった場合には,入院して点滴しながら自然に食べられるのを待ちます。ところが,認知症とかご高齢になったりすると,どんなに待ってもさほど食べません。

じゃあ,「そこそこ」食べられるようになったら退院か。

――なかなか,うまくいきません。

「ひとり暮らし」と言っても家族はいます。別居しているだけです。

この家族が恐れているのは,同居することです。もともと厄介者だから別居しているわけで,いまの生活を乱されたくないのです。これくらいなら,まだ許せます。

もし,別居していた高齢の方が入院したことで,その方の年金が使えるようになったらどうでしょう。

別居家族を入院させとくだけで,一定の収入になるんです。自由に使える金が入るんです。

ここで重要なのは,最も安く済むのは病院であること。老健施設や老人ホームは病院よりもはるかに高いんです。生かさず殺さず病院に永遠にいてくれれば,月に何万もの収入が増えるんです。

 

こういう場合,家族は退院を承知しません。

あわよくば永遠に入院させときたいのです。

昔ならまだしも,「永遠に入院」はありえません。90日以上の入院は,病院が損するように仕組まれています。

 

かつて,こんなことを言われたことがあります。

「どんな形でも良いから,生かしておいてください」

 

その家族は,「病院に送り迎えするから」と言って安く新車(障害者マーク付き)を買いました。「バリアフリーにして同居するから」と言って家をリフォームしました。全て新しくしてから,「やっぱり介護は難しいので,一生病院においてください」。

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