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2015年2月14日 (土曜日)

四月は君の嘘・最終話を読んで

月刊少年マガジンに連載されてきた「四月は君の嘘」,ついに最終話を迎えてしまいました。何回か紹介してきましたが,締めとして読書感想文でも書いてみましょうか。

ネタバレというよりも,最後まで読んでることを前提として書きますので,最終話を読んでない方はこの先を読まないことを推奨いたします。

最終11巻は,5月15日発売予定ですが,先にアニメが終わりそう。アニメは,原作に忠実ですので終わり方もきっと同じことでしょう。

 

 

「四月は君の嘘」というタイトルを見て,違和感と好奇心が湧きました。最も強い言葉は「嘘」。そして,「四月に」でも「四月の」でもなく「四月は」であること。このことから,単純に四月に嘘をつかれたのではなく,四月そのものが嘘であると興味をそそられたのです。

私は,その「嘘」は,「四月に一緒に演奏しよう」とかそれに近いものかと思っていました。でも,「嘘」なのだとしたら達成できないわけで悲しい結果になってしまいます。それに,「○○しよう」は嘘ではなく約束です。ちょっと違う。

作品を通して,真摯に音楽に没頭する公生の姿と,公生のことしか考えていないようなかをりの思いが描かれました。最初は,この二人のせつないラブストーリーで完結すると思っていました。しかし,作品の後半から椿の思いが絡み合ってきます。公生のことを弟としか思っていなかった椿は,公生への一途な恋心に気付いて悩むのです。まるで,「H2」の国見比呂のようですが。

ここで,当初の予想から違った結末を想像せざるを得なくなりました。

はじめは公生とかをりが結ばれることを考えていました。実際,音楽を通じて二人は結ばれたわけですが。共演したのはたった1回だけで,その後は公生が何度も音楽でかをりに告白を続け,かをりがその思いを受け止める。確かに相思相愛。もし,あと1回でも共演していたら二人は生涯のパートナーになっていたことでしょう。

椿の思いは膨らむ一方。そして公生はかをりを思う。

では,かをりは?

 

読者はみんな思っていたはずです。かをりは渡じゃなくて公生が好きなんじゃないのか。

 

それが最終話ではっきりしました。

かをりの「嘘」は既に第1話でなされていたのですね。最終話は,かをりの独白。幼い頃の公生との出会い(井川絵見との伏線は読めませんでした),中学1年生からの秘めた思い。かをりの人生は,公生を思い続けた人生であり,最後の最後に告白したい気持ちは遂げられたわけです。とても悲しいことですが。

 

とっても悲しかったですが,とてもスッキリした最終話でした。

 

 

感想はここまでですが,最後にかをりの病気について考察します。

実際,このブログの検索キーワードで「宮園かをり」,「病気」が多いので。

 

私の結論は,「何らかの悪性腫瘍」。

最初は血液疾患を考えましたが,血液疾患なら手術はしません。ネットに筋ジストロフィーという意見がありますが,臨床症状が異なります。脊髄小脳変性症とか筋萎縮性側索硬化症も手術しません。

作品中に出てきたのは,「大量の薬」,「突然倒れる」,「つらい点滴」,「延命のための手術」です。

おそらくは心臓周辺の腫瘍であり,それが進展してきたために突然の意識消失をもたらしたと推測します。顔面の出血は,血小板が低いためではなく,完全に意識がなくなったので頭から倒れ込んだせいではないかと。肥大型心筋症などで起こりうる症状です。

このような心筋症でも合致するところは多いのですが,「つらい点滴」が合いません。勝手につじつまを合わせるならば,「つらい点滴」は,脱毛を伴う抗癌剤ではなく,特定の腫瘍をターゲットとした生物学的製剤と思います。

最後は,可能な限りの腫瘍摘出を試みるのですがERD(ここは説明しません)のような心電図波形となり,ティッシュトート(ここも日本語にしません)となる…と。

この考察は蛇足です。

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アニメ・コミック」カテゴリの記事

コメント

わたしは、最終回読んで泣きました。(いい歳をして。)
直球勝負で来ましたね~。

病名についての考察、なるほど。さすがお医者さんです。
娘が「ALSだって噂だよ?」なんて言っていましたが三浦春馬くんのALSのドラマを見た限りでは、違うな…と思っていました。

それにしてもかをりちゃんのステージが少な過ぎました。1回くらいちゃんと弾けるようになった公生くんと、共演してみせて欲しかったです。

投稿: れもん | 2015年2月16日 (月曜日) 08時37分

れもんさん

泣けますよ。泣きましょうよ。

ALSに薬はありません。ヴァイオリンは弾けません。表情を作れません。走れません。「宇宙兄弟」のシャロンのような経過です。

共演,リアルに1回,ノンリアルでのラスト1回だけでしたね。私も共演を読みたかったです。でも,完璧な状態で共演したら,きっと心中しちゃうんだろうな…なんて。

投稿: おくちん | 2015年2月16日 (月曜日) 22時16分

おじゃまします。

ALSとか神経系疾患系の考察が検索上位なんて、ありえん。と、アニオタなドクターの考察探してこちらに行き着きました。NHKのドクターGみたいだなと思いつつ読ませていただきました。
フィクションなんで、辻褄あってなくて当然なんですけど…こんな病気ないよなー、と。
私は拡張型心筋症あたりか?と思ったので「つらい点滴」が引っかかりました。

それでも、号泣しちゃう青春群像アニメでした。

投稿: ぐっち | 2015年3月23日 (月曜日) 20時51分

ぐっちさん

実際のところ「明確にこの病気」ってのはピンとこないんです。あえて,そうしたのかもしれません。病気発症後にもヴァイオリンを弾ききれるもので考えていくと,やはり進行性の悪性腫瘍なのかなと。

できれば深夜枠ではなく,子供向けの時間帯にも再放送して欲しいです。

投稿: おくちん | 2015年3月24日 (火曜日) 08時59分

学生ですが、あれは悪性胸腺腫からの重症筋無力症かなーと思いました。

作者、そこまで考えてないかもですが。
おくちん先生の生物学的製剤まで考えてなかったです。

投稿: オズオズ | 2015年4月24日 (金曜日) 15時29分

オズオズさん

さすが勉強していますね!

縦隔腫瘍は鑑別診断の上位に来ると思います。一方で胸腺癌は小児の腫瘍としては稀であること,あの筋力低下が重症筋無力症の経過なのかは私には分かりません。

投稿: おくちん | 2015年4月24日 (金曜日) 19時52分

はじめまして。
病気に関していうと手術中に挿管チューブの他に経食道エコーが入っている(このためマーゲンは入ってない!)ことより心疾患、特に年齢からいってファローのような先天性心疾患じゃないでしょうか?
筋力低下に関しては次第に悪くなる感じではないので神経系より貧血とかですかねえ、、、


投稿: とあるオタク医師G | 2015年6月 3日 (水曜日) 00時11分

とあるオタク医師Gさん

駄文にお付き合いいただき,そしてコメントありがとうございます。

先天性心疾患,貴重な鑑別診断をありがとうございます。この作品において,かをりちゃんはヴァイオリニストとして比較的長い曲を弾ききります。ヴァリオリンの演奏はかなり無酸素運動だと思うんです。それと,作品中で公生に付き合って電車に負けないくらいの全力疾走します。チアノーゼ性の先天性心疾患ではこれらは困難じゃないかと私は考えます。また,中学生になってから発覚するような先天性心疾患で,「手術しても延命にしかならないもの」って,たとえば拡張型心筋症とかだった場合,(これも演奏は無理と思いますが)心臓移植を求めるのがドラマの常道と思うんです。

投稿: おくちん | 2015年6月 3日 (水曜日) 22時15分

かをりの病名を検索しているうちに、ここに辿り着きました。私は医師ではありませんが、いろいろと検索した結果、神経芽細胞腫からの癌転移という設定だという結論に達しました。
5周観まして、その他の気づいた事もBlogに書きましたので、よろしければ読んでやってください。
http://cogidal.blog62.fc2.com/blog-entry-359.html#more

投稿: ハント | 2015年9月14日 (月曜日) 23時27分

ハントさん

遅くなりすいません。そして駄文にお付き合いいただき感謝です。

さて,神経芽細胞腫ですが,私には違和感があります。私は小児科も癌も専門ではありませんので,以下は私見です。
神経芽細胞腫の発症年齢はより低いのが通例で,中学生で発症するのは極めて稀だと思うんです。そして,転移するのは主に骨髄です。この場合,抗癌剤として細胞分裂を抑えるものを内服するのは「あり」なのですが,副作用で人混みには入れず,頭皮は抜け落ちるはずなんです。少なくとも「彼女は美しい」なんてことは…。手術よりは化学療法で治療しそうなこともエンディングと合わないかななんて思います。

投稿: おくちん | 2015年9月23日 (水曜日) 21時50分

どう考えても漫画に都合のいい架空の病気でしょ。

投稿: | 2016年6月29日 (水曜日) 00時12分

ALSだと、かをちゃんの様に急に歩けなくなるのではなく、徐々に歩けなくなっていくのでは?
と言うことでALSは無くなりました。
「稀」という言葉が出てきますが、稀とはいえ可能性があるならそれも考えてみるといいのかと。
色々なサイトを見てきましたが、色々な見識をみるうちに分からなくなってしまい……泣
実はまだ小学生です。そういうのに興味があるだけの子供なので、医学的にはよく分かりません。
新川直司先生が医師ならともかく、漫画家なので、そこまで深く考えなくてもいいのかもですが…
同じ病気の方に配慮して明かしていないのなら、やはりその病気が存在しているという事なのでしょうか?
興味があるだけの子供の結論は、併発に至りました。
2つ病気を患っているのなら辻褄も合うのでは、という結論になりました。恐らく違いますが。

おくちん先生が言っていた、特定の腫瘍をターゲットにした生物学的製剤は、なるほどと思いました。
抗がん剤なら毛が抜けるので、ガンは違うと思っていましたが、それを聞いて納得しました。

長文になってしまいました。すみません。

投稿: | 2017年1月 8日 (日曜日) 13時22分

失礼します。タネ本の「いちご白書」ですと、ヒロインは脚の悪性腫瘍で、作品登場時から片脚切断状態で、さらにがん転移し、乳がんで乳房全摘となり、術後の肺炎が悪化して亡くなっています。宮園かをりの役回りは、このヒロインとあらゆる面で重なりますが、初出が少年誌でしたので、インパクトの強すぎる部分をカットしたものと思われます。おかげで全体的にきれいな作品になっています。

投稿: | 2017年6月 4日 (日曜日) 00時42分

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