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2015年7月24日 (金曜日)

無意味な検査・悩ましい検査

時々ですが,「この検査,しなければよかったのに」と思うことがあります。

検査って,やはりタイミングと評価が大切で,そこを考えずに行うと後悔するのです。

 

たとえば,「CRP」。

「C反応性蛋白」と言いまして,炎症マーカーです。体内のどこかに強い炎症があれば,肝臓が「CRP」を合成し,血液中でCRP濃度が上昇します。ですから,血液検査でCRP濃度を測定すれば,体内に炎症を起こしているものがあるのかないのか分かるわけです。

で,肺炎の患者さんが入院したとします。外来で測定したCRPは10.0mg/dl(基準値は0.2未満)。

抗菌薬が投与されて,すぐに解熱し,呼吸も見ていて楽そうになってました。明らかに治療は効いています。主治医は,その翌日にも採血しました。

そうしたら,CRPは12.5mg/dl。入院時より上昇していました。

主治医は悩みましたが,自分の診察所見に自信がなかったので抗菌薬を変更することにしました。

 

さて,CRPというのは,炎症があって肝臓が合成するわけです。そこに時間差が発生します。24~48時間遅れて上下することもあります。入院2日目のCRPというのは,もしかすると入院前日の炎症をみているだけかもしれません。それに惑わされてはならないわけです。実際,解熱して呼吸状態が改善しているならば間違いなく抗菌薬は効いているわけで,それを変更する必要はありません。

採血するのは構いません。点滴によって電解質が崩れているかもしれませんし,抗菌薬による肝機能障害が出始めているかもしれません。ただ,CRPに関しては,このタイミングでとっても意味がないし,迷うだけです。

 

ちょっとレベルを上げます。

 

ヘルペスウイルスの検査で「マルチプレックス」というのがあります。

ヘルペスウイルスには8種類以上ありまして,口唇ヘルペスを生じる単純ヘルペスウイルス以外に,水痘帯状疱疹ウイルス,EBウイルス,サイトメガロウイルス,HHV-6などなどがあります。

さて,よく分からない発熱を便宜上「不明熱」と言いますが,このときに「マルチプレックスを検査しましょうか」という話がカンファレンスで出ることがあります。

この検査は,患者さんの血液をサンプルとして,遺伝子増幅をかけて,ごくごく微量のヘルペスウイルス全てを検出しようって検査です。通常の血清検査では検出できないレベルのものを無理矢理みつける検査です。

実際のところ,この検査が決め手になる病気は稀です。そういう稀な疾患をターゲットにしているなら構いませんが,考え無しにオーダーし,患者さんの状態は凄く良くなっているのに,微妙に何かが陽性で帰ってきたりすると悩むわけです。

それに,この検査は保険適用外です。保険が効かない検査は結構あります。しかも高額です。数万円します。

でも,患者さんからは徴収できません。混合診療ってことになっちゃいますから。

すると,この検査費用数万円は病院からの持ち出しです。病院の自腹です。もっといえば,この検査,オーダーしてから結果が来るのは3週間くらいかかります。結果が出る頃にはたいていの患者さんは良くなって退院しています。

不明熱は勉強になりますから,研修医の先生とか若手の先生が担当することが多いです。で,あまりコスト的なことを考えずにマルチプレックスを出したりしています。保険適用外の検査でも,医師ならば簡単にオーダーできちゃうところも問題です。

 

検査をするなら,タイミング,正しい評価,コスト意識が必要です。

また,検査結果と関係なく治療方針が決まっているならば,検査しない方が良いと思います。また,検査結果に引きずられないことも大切です。

 

私の場合,リウマチ患者さんでCRPが上がっていたとき,「また1人で草むしりしたでしょ,こんなにCRPが上がってますよ」とか鎌をかけ,患者さんの教育材料に使っております。私の患者さんは,無茶しすぎで関節に負担をかけている人が多いのです。

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コメント

関係ないのかもしれないですが、関係ある?なんて、悩ましい記事です。

無茶しすぎて負担をかけてる、非常に胸に刺さりました(笑)

投稿: りんしお | 2015年7月24日 (金曜日) 22時52分

高度な内容は、ついていけませんが、CRPについては、納得です。

現場でも良くありますし←若手のドクターが悩んだり、新人ナースが勘違いするなどなど。

WBC(白血球)と違って、後から上がってきますしね、採血して、まだ下がらない‼とか、逆に上がってる‼なんて、右往左往している学生さんとかみると、悩め、悩め~、と思ってしまいます。

今でこそありませんが、夜勤ハードなころ、体調悪くて採血すると、WBC20000、半端なく発熱←抗生物質点滴しながら仕事、とか無茶しておりました。
数日後、CRPが上昇、WBCは下がって来る(笑)


CRPに関しては、そうそう頻繁に採血しても、ですよね。


リウマチの患者さんは、無理する方と、依存型の二極化していませんか?

私の偏見かしら?
凄く頑張ってしまう方、リウマチだから、と自分大事に何でもご家族にお任せの方。
後者は、出来ることもやらないので、悪化して動けなくなるパターンです。

そこまで頑張らなくても‼という方は、やらないとどんどん悪くなるかも、と出来る限りの事をする←CRP、RAが上がるという何とも言い難い事態を見ていたので、私の憶測ですが。

何となく、おくちんさんの患者さんは真面目な頑張りやさんが多いのかも?と。


不明熱は、ホントに不明です。検査でなかなか、出てこない。故にあらゆる検査をする、保険適応でなくても、追及していくのですよね。

原因が判るまで、相当、時間を要しますし。
遺伝子レベルの検査になると、悩ましい結果が出てしまう、これその後どうなるのでしょう?

ヘルペスといえば、去年、初めて、帯状疱疹になりました。ホントに半身に出るんだ‼と、感心しました(笑)

帯状疱疹で、耐え難い痛みの方々を見てきたのですが、実際に自分がなると、痛みは感じなかったです←鈍い(笑)
あれ?と思って、怪しい‼と、すぐに専門医に診てもらい、ブロックと、抗ウィルス薬の投与が早かったからかもしれません。
朝、2ヶ所発疹で、昼にはパラパラと広がっておりました。身をもって、知る患者さんの心、でした。
とにかく、現場では色々なことが起きますよね。先日のセカンドオピニオンの件もですが、ドクターが、セカンドオピニオンお願いします、と紹介状をかいたところ、紹介先から、セカンドオピニオンだと、費用がかかるので、紹介状の、セカンドオピニオンの下りを消してほしいと、依頼がありました‼このケース、患者さんのご希望だったんですけどねー。

投稿: goゆるりと | 2015年7月25日 (土曜日) 01時07分

りんしおさん

すいません。我ながら微妙な記事でしたね。
リウマチ部分は私の言いたいことではありません。
適度にスルーしていただきたいです。

リウマチの方が関節を動かす分には問題ないと思います。
ただ,炎症のある関節に「過度の重さをかける」のは
避けた方がよいと思います。
たとえば手関節が腫れていて,腕立て伏せとか。

投稿: おくちん | 2015年7月26日 (日曜日) 13時09分

Goゆるりとさん

すいません。後半は書くんじゃなかったと反省しております。

リウマチは120人にひとりは罹患しますので,本当に様々です。私のところに来る患者さんは,リウマチベテランで変形がかなり進んでいるのにニコニコしていて頑張り屋さんが多いです。逆に,全く関節破壊は無いのに不安で何もできないという方もいます。ですので,全く同じような関節所見でも言うことは違ったりします。

セカンドオピニオンは微妙ですよね。前医の診療内容に対して意見を述べるのは「診療」ではなく「相談」です。そう考えれば,今まで保険診療扱いにしてきた事例で「セカンドオピニオン」扱いにできるものは少なくないです。

とはいえ,慢性腎臓病とかの病診連携は3~6ヶ月おきに地域の担当医と患者さんをやりとりして意見を述べます。これはセカンドオピニオンには該当しません。このへんの区分けって難しいですね。

投稿: おくちん | 2015年7月26日 (日曜日) 13時34分

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