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2016年4月 5日 (火曜日)

インフェクション・コントロール・チーム (ICT)

一般の方々は,ICTって知らないと思います。情報通信の方のICTならあるかもしれませんが,インフェクション・コントロール・チームのICTは医療従事者くらいかも。

 
インフェクション・コントロール・チーム(以下ICT)は,そのまま訳せば「感染制御チーム」。すなわち,病院における院内感染を防ぐためのチームです。
 
この歴史は意外と浅いです。2000年頃は医療従事者でも聞いたことがない用語でした。しかし,その頃から日本では院内感染事例が全国的に多発して,院内感染を何とかしようという気風が高まりました。
 
そこで,政府とか厚労省(当時は厚生省?)が,中規模以上の病院にICTを作らせようとしたのです。
 
「作らせ方」は簡単です。
 
ICTをつくった病院に手厚い加算を与えるわけです。つまり,ICTを結成した病院は儲かるようにルールを改定したのです。
 
これを受けて,数多くの病院がICTを結成しました。
 
ICTの要件は,医師,看護師,薬剤師,検査技師のすべてが含まれていること,そしてそれぞれの職種で感染管理に関わる経験年数が定められています。
 
このICTが病院内を巡回して,院内感染のリスクを軽減させるのです。たとえば,消毒方法を指導したり,患者の病室配置について相談に乗ったり,などなど。
 
この「巡回」を「ICTラウンド」と言うのですが,これについて今年度にとても困ることが出てきました。
 
 
「手厚い加算」を得るための新しい条件として,「ICT全員が週1回はすべての病棟を巡回すること」が明文化されたのです。
 
小さな病院ならば,「すべての病棟を巡回」するのは1時間程度で済みます。でも,病棟が15とか20ある病院で,すべての病棟を巡回するには1箇所10分としても3時間かかってしまいます。
 
 
実は,多くの病院で,ICTに所属するメンバー(医師,看護師,薬剤師,検査技師)は兼任です。そりゃ,感染対策だけやってれば最高ですけど,病院経営上は,「感染だけ」やらせるわけにいかないのです。みんな,普通にそれぞれの職務をやって,空いた時間で感染対策を頑張っていたわけです。もちろん,多くの人々は手当なんて付いてませんよ。単純に仕事を増やされて感染対策も頑張っていたわけです。
 
ですから,週に1回とはいえ,そのメンバー全員が揃って,病院を回るだけでも調整が困難だったわけです。それでも,1~2時間は時間を調整して何とかしていました。
 
ところがこの新ルールです。
 
「すべての病棟を全メンバーで巡回する」
 
これを達成できなければ,病院は数千万の収入が得られなくなります。本気で1箇所回るなら最低20分。これを15箇所回るなら,6時間…。
 
困りました。
 
 
うちの病院も,ほぼ全員が兼任なので,この条件を達成させるならいくつか無茶をしないといけません。
 
が,6時間もかけてられないのも事実。そして,週2回にしようとすると,集合できないのも事実。
 
 
――超高速で「巡回」するしかないかな…

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コメント

ICT、なかなかの制度改革ですね。
国策(?)なのでしょうけど、大病院にはつらいものがありますね。
逆に巡回が意味をなさなくなる気がしてなりません…

投稿: わたけん | 2016年4月15日 (金曜日) 21時43分

わたけんさん

仰るとおりです。

かつて感染対策管理加算が開始されたとき,その大きな診療報酬に多くの病院が飛びつき,感染管理認定看護師がたくさん排出されました。しかし,ICTとは名ばかりで,認定看護師がほとんどの業務をこなしていました。これからは4職種(医師,看護師,薬剤師,検査技師)が「実働」することが求められます。

でも…「ただ回るだけ」ってことになりかねませんね。我々は,「今週のチェックポイント」を定めて,短時間でラウンドできるように工夫をし始めました。

投稿: おくちん | 2016年4月18日 (月曜日) 08時16分

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